「ヤシの木の下」で昼寝をする男とアメリカ人の幸福論とイグノーベル賞の慧眼。

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◆「人間の幸福とはなにか」の答えの一つとして、次の寓話がよく知られている。

ヤシの木の下で昼寝をする男

◆「ヤシの木の下」で昼寝をする男とアメリカ人の幸福論

ここは、ある南の国。登場人物はアメリカ人と現地人。

ヤシの木の下で、いつも昼寝をしている男をつかまえて、アメリカ人が説教する。

「なまけていずに、働いて金をもうけたらどうだ」

男がジロリと見あげて言う。

「金をもうけて、どうするのだ」

「銀行に預けてふやせば、大きな金になる」

「大きな金ができたら、どうする」

「立派な家を建て、もっと金ができれば、暖かい所に別荘でも持つか」

「別荘を持って、どうするのだ」

「別荘の庭のヤシの下で、昼寝でもするよ」

「オレはもうずいぶんと前から、ヤシの下で昼寝をしている」

◆この幸福論を覆す研究がある。実際にココナッツの落下によるケガの実態を調べた人がいるのだ。

◆ピーター・バース医師という。彼によれば、 4年間にわたる調査の結果、怪我で来院する人の「2.5%」は ココナッツの落下が原因だったという。しかも、ココナッツの落下によって、頭にどれくらいの力がかかるか計算してみると「1tの重さ」の物を置くのと同等の力であることも加えられている。更に、立っている状態でココナッツに打たれるよりも、地面に寝転んでいる方が危ないという。

◆そして、当然のことだが、現地の人はそんな場所に昼寝はしない。

◆怪我をするのは「たまたまそこを昼寝の場所」に選ぶ住人以外だ。ひょっとしたら、先ほどの話を間に受けたアメリカ人のような人だろうか…。

◆さて、もっともらしい幸福論に一矢報いた研究である。そして、なんとこの研究は、世界的に権威のある「イグノーベル賞」2001年の医学賞を受賞している。イグノーベル賞とは、1991年に創設された「人々を笑わせ、そして考えさせてくれる研究」に与えられる賞で、”表のノーベル賞”に対して”裏ノーベル賞”とも呼ばれている。しかし、ただの笑い話ではなく、しっかりとした研究、科学的な根拠がなくてはならないという。

◆2023年のイグ・ノーベル賞では「栄養学賞」を受賞したのは日本の方だ。明治大学総合数理学部の宮下芳明教授らによる「電気味覚」の研究が対象。この研究では口臭を気にせずにニンニクを味わう方法や、甲殻アレルギーの人でも安全に食べられるカニクリームコロッケなど可能になるとか…。

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