「人間は 苦悩する存在=ホモ・パティエンスなのだからである」とエミール・フランクルはいう。

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輪橋山徒然話 2023/10/9 「苦悩する存在=ホモ・パティエンス」

◆深刻に考えすぎて、二進も三進も(にっちもさっちも)いかなくなった経験は誰にでもあるはずだ。それは、「人間は 苦悩する存在=ホモ・パティエンスなのだからである」とエミール・フランクルはいう。

◆そもそも「悩みや不平不満、苦悩」は煩悩が生み出す悪い感情だ。しかし、フランクルはこの「苦悩」さえも人間の一部であり、能力なのだという。それはいったい、どういうことであろうか。

◆フランクルは、「苦悩」は「自分の内面に保持されたもの」であるという。例えば「苦悩」を内面に保持することができない人間は、感情が顔にそのまま出たり、あるいは、「キレる」という行為に繋がったりする。「苦悩」を「怒り」で返しては、それでは何の解決にもならない。つまり、「キレない」能力は「我慢する力」ともいえるのだ。ちなみに、輪橋山徒然話では、「苦悩」については自らに留めない、溜めない、受け流すことを重視し、その術として、深呼吸や付箋写経など提案してきた。それとは意味が少し違いそうだ。

◆エミール・フランクルといえば「夜の霧」の作者である。

「苦悩はそれが大きかろうと小さかろうとどちらにせよ人間の心、人間の意識を満たしているのであった。人間の苦悩の「巨大さ」も全く相対的なものになるのであり、他方それ自身は極めてささやかなことも最大の喜びをもたらし得るのであった」

◆題名の「夜の霧」とは、ユダヤ人やナチスに反する思想や政治信条を持つ人たちを、「夜と霧に乗じて」人知れず連行せよというヒトラーの命令だ。実際に当時は、一夜明けると、目をつけられていた一家全員が知らないうちに消え去っていたという。

◆実はエミール・フランクルはユダヤ人の精神科医であり、惨劇を極めたナチスの強制収容所を体験していた。生き抜くためにフランクルが編み出した心理療法は「逆説志向」というものだ。一言でいうとユーモアでわらい飛ばすということだ。

◆死と隣り合わせの理不尽な生活の中で、仲間と1日にひとつユーモアのある話をみつけることを義務とした。たとえば、収容所の監視官にされたことなどを題材にし、普通の生活に戻れた日のことを思い浮かべながら仲間と互いに笑いあったのだ。

◆収容所の極限状態の中で、ユーモアというトリックで苦悩を笑い飛ばし、実際に乗り越えたのだ。人間は厳しい逆境にあっても笑うことが可能であり、辛い現実を引き受けて心を強くすることが「ユーモアのトリック」による「逆説志向」なのだ。

◆「苦悩の巨大さも全く相対的なものであり、極めてささやかなことも「ユーモア」で最大の喜びをもたらし得る」ということであるということだ。

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