2024-4- 19 「最期は夫に抱かれ-女優の幕の引き方-」
「新妻に捧げる歌」
しあわせを もとめて ふたりの こころは
よりそい 結びあう 愛のともしび
悲しみを なぐさめ よろこびをわかちあう
ふたりで歌う 愛のうた
ラララ… ラララ…
◆「新妻に捧げる歌」の作詞は、中村メイコさん。作曲は夫である神津善行さんだ。幾つになってもお似合いな、お二人はおしどり夫婦だった。
◆中村メイコさんは令和5年の大晦日に肺塞栓（そくせん）症のため８９歳で逝かれた。女優のこの世からの去り際は、神津善行さんが見届けた。見届けたというよりも、最愛の相手役として舞台に立った…。
◆神津さんはインタビューに「その時」を次のように話されていた。
「それで『寝る』って言って寝たんですね。
で、寝たんですが、すぐに呼ばれて。
『ちょっとやっぱり変だから起こして』と。
僕は手に首を持って、ベッドの上で起こしたんです。
『どう？大丈夫？』って聞いたら
『うん。大丈夫だけど、ちょっとしばらくそうしてて』と言うんで、
そうやってたんです。
そしたら、僕の小指に人差し指をぶら下げてきて…。
ちょっと力があって元気があるなと思ったんですが、
それで抱いてたら1分10秒か20秒で、
なんか力が少し抜けてきたなと思ったら、
ぽろっと手が落ちたんです。
それで、その時にやっぱり息を引き取ったらしいんです。
-中略-
「後で考えてみると『そのまんまにしてて』と首を抱いた時に、
彼女が指をひっかけたのは、手を握ったんだと思うんです。
ずっとやっていて外れてしまって…。
そこで息を引き取るんですが、全く苦しまないで。
病院にいても、どこにいても、
抱かれて死んだっていうことはまず通常あり得ないと思うんです。
-中略-
それを考えると、人生の1番最後に幕を引く引き方が非常にきれいだったなと思う。
◆中村メイコさんと神津善行さん夫妻は、出会いから人生の終わりまで「新妻に捧げる歌」の如きだ。そして女優のリードで迎えるラスト。
◆それにしても女優の人生の幕引きはなんと見事なことかと感服した。
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