『幸福論』(アラン)』幸せも悲しみも上機嫌も不機嫌も「伝染る」ということ

マスクブログ
マスク

輪橋山徒然話 2023-12-18
『幸福論』(アラン)』幸せも悲しみも上機嫌も不機嫌も「伝染る」ということ

◆フランスの哲学者であるアランの『幸福論』には、感情とは「伝染」するものだとある。だから、喜びも悲しみも上機嫌も不機嫌も人から人へと感染していく。不機嫌の人と生活をともにすれば、不機嫌になり、上機嫌の人に接すれば幸せな気分になると。

◆人間が幸せにいるには上機嫌でいることが大切だと説くアランは、「上機嫌は贈り合うことによって増えて行く宝でもある」と言う。たとえばレストランのボーイに「ごちそうさま。美味しかった」と親切なことばを、ひとこと言う。それは相手にかける言葉なのだが、回り回って自分を幸せな気持ちにもしてくれるだろうと。自分の機嫌のいい所作が、世の中を巡り巡って自分を幸福にしてくれるという。

◆上機嫌の人に頂いた幸せが、上機嫌という形でその人に返ることになるのだ。アランはもしも道徳論を書いたとしたら、一番の義務は上機嫌だとまでいう。

◆プラスがあればマイナスがある。心得なければならないのは、「憐れみについて」だ。逆の場合があるということだ。

◆仮に病人を見舞ったときに、親切心や同情から心配する口調や表情を示すのは、「そのたびに(病人に)悲しみを少しずつそそぎかける」ことになるのだと。つまり、なぐさめている健康な人が病人に悲しみを伝染させていることだという。

◆だから、むしろ病室には元気さを持ち込むことだ。アランはいう。

◆「病人は自分のせいで人のよろこびが消されはしないのを見れば、その時に立ち直り、元気になるのだ」と。

◆つまり、プラスの感情もマイナスの感情も相手に移っていくのだ。

◆アランは、「本当を言えば、上機嫌など存在しないのだ。気分というのは、正確に言えば、いつも悪いものなのだ。だから、幸福とはすべて、意志と自己克服とによるものである」
という。悲観主義は気分によるものであり、楽観主義は意志によるものなのだ。だからこそ、感情に流されず、『いまは辛いけど明日は明るくなる』と、意志の力で楽観主義に立ち、悲観主義に陥らない。それが大人になるということだ。

◆作家の佐藤愛子さんも著書の中で「アランの幸福論・上機嫌」に触れている。上機嫌を道徳論の義務の第一義に置くアランに賛成し、その上で「上機嫌で怒ること」について書いている。

「私はすぐに怒る人間として知られているようですけど、怒るときも上機嫌に怒っていましたから、まあまあ元気にやってこられたんじゃないかと思いますよ。上機嫌に怒るということは、つまり後に怒りの余韻|―憎しみや恨みを残さないということです。」

(人生は美しいことだけ覚えていればいい  365人の仕事の教科書より

◆不機嫌の原因は「余韻」。それは「憎しみや恨み」なのだ。佐藤愛子さんは父と同じ大正12年生まれ。100歳である。

#輪橋山徒然話
#佐藤愛子. さん
#心は大山
#上機嫌
#アラン_幸福論
#不機嫌
#伝染るんです

コメント