お釈迦さまは聞いた。「そなたは、どのような女性になりたいのですか」玉耶姫の話

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そなたは、どのような女性になりたいか

◆「仏説玉耶女経」というお経がある。1,500字に満たない短経だ。

◆中身は、大変な悪妻がお釈迦さまの教えによって良妻賢母に生まれ変わったという話なのだ。江戸時代までは上流家庭では、嫁ぐ娘に持たせたそうだ。

◆かのインドの有名な祇園精舎の建立者、給孤独長者は一人息子に嫁を迎えた。

◆給孤独長者は「女性は美しいことが一番素晴らしい妻になれる」と嫁探しをした。ようやく見つけたのが、玉耶姫と名づけられた大変美しい女性だった。

◆しかし、この玉耶姫は、誰より早く寝て、遅く起き、日がな一日鏡の前を居場所に、髪を梳き、化粧を続ける。気に入らなければ使用人を怒る、箸より重いものなどもたない。只々自分の美しさに自惚れているような女性だった。

◆良妻賢母を求めていた給孤独長者の言うことなど全く耳も持たなかったそうだ。

「叱ればすねる。誉めればつけ上がる。殺せば化けて出てくる」とそんなふうに表現されたほどだった。

困った給孤独長者はお釈迦さまに助けを求める。

◆さて、お釈迦さまはどのように諭されたのだろうか。

玉耶姫よ

いかほどの顔や姿が美しくても、心の穢れているものは醜いものである。
黒い髪もやがては白くなり、真珠のような白い歯もだんだんと抜け落ちていく。
顔はしわができ、手足が次第に不自由になってくる。それだけではない。
ひとたび無常の風に誘われれば、二度と見られぬ哀れな姿に変わり果てるのだ。
そのような肉親に何の誇りが持てようか。

それよりも心の美しい女性になって、誰からも慕われる事こそ大切とは思わぬか。

◆続いて、お釈迦さまは七つの種類の婦人像をお示しになった。そして、「そなたは、どのような女性になりたいか」と問われたのだ。

◆7つ種類の妻とは次の通りだ。

第一種……人殺しのような妻。夫に対して敬愛の念がなく、他の男に気移りする
第二種……盗人のような妻。夫の仕事を理解せず、収入を浪費し、虚栄に走る
第三種……主人のような妻。家事を顧みず、怠け、夫に当たり散らす
第四種……母のような妻。夫に細やかな愛情を抱き、夫の収入を大切にする
第五種……妹のような妻。夫に誠意を持って接し、姉妹に対するような愛情をもつ
第六種……友人のような妻。久しぶりに会う友に対するように、正しく夫を敬う
第七種……家政婦のような妻。怒りや恨みを抱かず、夫を大切にしようと努力する

「あなたは、このうちどの種の妻になろうとするのか?」と尋ねられた玉耶姫は、わが身を大いに恥じ、心から悔い改め、後世、「妻の鑑(かがみ)」と称賛されるようになったそうだ。

◆さて「夫婦や親子になった相手とは、前世では、夫と妻、親と子の立場が逆だったこともある」と教えられたことがある。例えば、前世の母が、今の世では子、相手と立場を変えているということだ。そのように互いの魂が、前世でもこの世でも深い縁で結ばれているというのだ。

◆これは「多生」といわれる輪廻転生の中で起こり、お互いに相手としてふさわしいからこそ、現世で出会ったという教えだ。三島由紀夫の「豊穣の海」にも通じる世界観である。「多生の縁(たしょうのえん)」と言う。そうであれば、この世の彼女との「多少の諍い」など、おおめに見たいものだ。

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