ドラえもんの出しのは『ハジメテン』。これを飲むと最初はどんなことにでも感動があったと思い出させる。

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輪橋山徒然話 2023/11/23 『ハジメテン』

「ドラえもん29巻「思いだせ!あの日の感動」

◆今回取り上げるのは「ドラえもん29巻「思いだせ!あの日の感動」だ。

◆その日ののび太は重症だった。何事もいやだ。気力がわかない。学校にも行きたくないし、何もしたくない。小学生でも大人でもこの気持ちはよくわかるはずだ。いわゆるエネルギー切れの状態だ。

◆この回でドラえもんの出した道具は『ハジメテン』。今回は薬。これを飲むと最初はどんなことにでも感動があったと気が付かせる優れものだ。

◆その効果は、「感動を思い出させる」ことた。たとえば、しずかちゃんに会うと、まるで初めて会ったように感動し、何度も遊んだオセロも、何度も見たマンガもはじめてのように面白く感じる。マンネリが消え、全てが新鮮に戻るのである。

◆ドラえもんは、明日はこれを飲んで学校に行くようにのび太に言う。

◆「最初はどんなことでも感動があった」のだとベッドで考えるのび太。今は大嫌いな学校とのはじめの出会いはどうだったのだろうと。あんなに嫌な学校も初めは感動していたのだろうかとタイムマシンで確かめに行く。すると楽しそうにランドセルを抱えて走り回るのび太の幼き日の姿があった。学校生活の夢を語るのび太とそれを喜ぶ両親の姿も。

◆ベッドに入り「いつからこう(学校に行くのが嫌に)なったのだろう」考えるのび太。

◆さて次の日の朝、のび太はドラえもんに薬は飲まないと言う。あわてるドラえもんに
「学校を嫌がってばかりじゃしょうがないからね。薬の力なんか借りないでチャレンジしてみる」と宣言したのだ。「大人への階段」を一つ上ったような「いってきます」が印象的な「ドラえもん29巻「思いだせ!あの日の感動」は何度読んでも傑作だ。

◆さて、ドラえもんを読んでいると子どもの頃を思いだす。押し入れもあったし、グローブは宝物だった。ジャイアンもしずかちゃんも、スネ夫も怖い先生もいた。中学では廊下にも立たされることもあった。私も、学校にも行きたくないし、何もしたくない時がなん度もあった。そんな時は体温計を擦ったり、お茶に近づけたりなんとか37度にならないかとがんばったものだ。つまり、仮病だ。そして病人の「仮面=ベルソナ」をかぶった。

◆すると微熱ぐらいは出る。母は知らん顔して学校を休ませた。でも、今思えば全てお見通しだったろう。それはそうだ。私は「扁桃腺」の手術をするまでは、すぐに高熱を出していた。熱が微熱で止まることなどなかった。ずる休みの私は、お昼に母と(お約束の)「桃の缶詰」を食べた。仮病の「仮面=ベルソナ」はいつの間にか取れ、安心し、また布団にもどった。

◆「桃の缶詰」の香りも、甘いシロップも缶切りも布団の重さもタオルケットの模様も思い出した。昨日の「皮膚・肌感覚」だ。そのころの間取りも母の鏡台も。それだけでなんだか元気がでてきた。

◆人間の脳は都合よく思い出を作り、再構成する能力があるそうだ。それでもいいじゃないかと思った。それにしても不思議なものだ。「皮膚・肌感覚」はそれ自体が記憶を呼び起こし、繋ぎ始める。

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