一度失敗したことを自分には無理なことなのだと簡単には諦めないことだ。

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輪橋山徒然話 2023-12-5 サーカスの象と「而今(にこん)」

◆一度失敗したことを引きずり、やりたいことがあっても自分には無理なことなのだと諦めてはないだろうか。

◆意外とその苦手意識は、自分が勝手に植え付けたものかもしれない。それを教えるのが「サーカスの象になるな」という話だ。

◆曲芸はサーカスの華である。特に象は、小さな台に抜群のバランス感覚で乗ったり、長い鼻で絵を描いたりと花形だ。

◆その裏で、小さい時からサーカス小屋に連れてこられ、鎖でつながれた生活だ。そして、調教され、芸を仕込まれる。

◆子どもの象は鎖を引っ張って逃げようとするそうだ。しかし、体がまだ小さいので鎖は切れない。何度も逃げようとする。そのうち、逃げられないと観念して暴れるのをやめてしまう。

◆さて、この象は年月が経て、やがて大人の象となる。どう見ても彼をつないでいる鎖など簡単に切れる力を持っていそうだ。

◆しかし、象は決して鎖を切って逃げようとはしない。

◆なぜだろう。

◆これが「サーカスの象効果」といわれるものだ。

◆象には、どうしても鎖が切れなかった経験は残っている。鎖は絶対に切れないという観念だけがしっかりと植え付けられてしまっているのだ。つまりそのように「学習」したのだ。その学習が「無力感」を生む。

◆つまり、心理的障壁: 大人になった象は物理的には鎖を破ることができるはずが、心理的な障壁によりその行動をとらない。これは、制限が心理的なものに変わったことを示している。一種のマインドコントロールである。

◆さて、その心理的障害を一つ一つ取り除いていけば、自由な未来は開かれるはずだが、人間は意外に自分のことが見えないし、わからない。

◆一つヒントになることばがある。「過去の縁に囚われず、今を生きる」という意味の「而今(にこん)」という禅語だ。

◆「而今」とは過ぎ去った昨日や明日にこだわらず「今」この瞬間を精一杯に生きること。過去の経験や制約にとらわれることなく、現在の瞬間に集中し、その瞬間を完全に生きることの重要性を説いた禅ことばだ。過去や未来に思いを馳せることなく、現在の瞬間に意識を集中することが「心理的障壁」という鎖から自らを解き放つ道でもあると教えている。

※「サーカスの象」という話は、「くさりにつながれた象」というスペインの絵本。ホルヘ・ブカイ (JORGE BUCAY)という作家と、スペイン在住のグスティ(GUSTI)というイラストレーターの作品だ。

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