◆面白い本がある。
「幸せに気づく世界のことば」
メーガン・C・ヘイズ=著|イェレナ・ブリクセンコヴァ=絵|田沢恭子゠訳
どうすれば人は「よく」生きられるのか
幸せの秘密を探して世界の「翻訳できない」言葉を巡る旅へ
世界中から集めたよりよく生きるためのヒントに満ちた言葉を通じて、さまざまな幸せのかたちを描く
どの文化でも本当に大切な言葉はじつに素朴だ。
そして、大切だからこそ毎日、何度も何度も繰り返し使われる。
――若松英輔(批評家・随筆家)
◆世界にはおよそ200 の国があり、無数のコミュニティで暮らす何十億もの人が数千種類もの言語や方言を話している。「翻訳できない」言葉とは、その土地、その土地で、よく生きるために大切にされた「当たり前」「幸せ」や「考え方」を見事に表現している言葉であり、知恵だ。つまり、その土地の文化も丸ごと理解し、翻訳する必要のある言葉ということになる。
◆つまり、各地にある「翻訳できない」言葉を探っていけば、よく生きるためのヒントを得ることができるというのがこの本のコンセプトで面白さだ。
◆たとえば、スエーデンの「LAGOM」(ラーゴム)という言葉がある。日本語で「適当」「適度な」「適量な」と訳されることが多いが、それだけではその深い意味を伝えることができないという。「LAGOM」は、現代スウェーデン人風にいうと、「なんでもほどほどがいいよね」「ちょうどいいのがいいね」のようなイメージ。それを本書では、トルストイの「3びきのくま」の話を引用しながら、「まさにぴったり」という絶妙なバランスを示す言葉で翻訳している。
◆スエーデンの「LAGOM」が今後の消費社会に代わる姿勢を表す一言だという。欠乏のもたらす不幸も、過剰がもたらす不快感でもなく、バランスのとれた至福感が「LAGOM」なのだ。そして、この言葉は北欧の雄、理性的で忍耐強い国民性を支える言葉でもあるのだ。もっともっとという欲望を抑え、過剰よりも適度を、熱狂的な蓄財よりも満ち足りた幸せを願うという言葉なのだ。
◆それにしても翻訳家とはすごい教養だ。その仕事は単なる言葉の転換ではないのだ。背後にある感情や文化、ニュアンスを捉え、違う言語で再現することにある。例えば「LAGOM」のような言葉を翻訳する際には、その国の文化や生活の中での使われ方を理解することが不可欠なのである。それだけではない。それを自分の国の言葉に置き換えるのだ。ある翻訳では、「LAGOM」を「中庸の精神」と訳したそうだ。何度もいうが「まさにぴったり」は腑に落ちる。絶妙だ。
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