個性の時代とは「欠点」に見えても、「他人との違い」があるだけで、それが自分の強みに化ける時代だ。

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輪橋山徒然話 2023/10/14 「大きいことはいいことだ」と「小さいこともいいことだ」

◆昭和43年、三億円事件のこの年に流行したフレーズは「大きいことはいいことだ」だ。森永製菓「エールチョコレート」のTVCMで、山本直純さんが気球に向かってタクトを振るう姿が豪快だった。価格は50円。時代は高度経済成長期だ。大きいとか、速いとか広いとか、強いとかそんなキャッチが多かったように思う。家も車も大きい方が評価され、皆が価値をそこに求めた。

◆実際に、家を新築するときは、前の家よりも広く、大きく、屋根も高くしなければならないと教えられた農家の長男は、皆なその通りにした。一年以上も大工が泊まり込み、立派な家を建てた。私自身も車を乗り換えるごとに大きくしていった。

◆「大きいことはいいことだ」そんな時代がずっと続いたような気がする。

◆今は違う。大きさなどではない。「自分らしさ」いわゆる個性の時代だ。一見「欠点」に見えることでも、「他人との違い」があるだけで、それが自分の強みに化ける時代なのだ。そんなことを教えてくれる絵本がある。

まめまめくんは、ちいさな ちいさな おとこのこ。
うまれたときから まめつぶみたいに ちっちゃくて

◆スイス生まれのデヴィッド・カリ作の「まめまめくん」というお話だ。表紙はマッチ箱の中で眠る男の子。

◆まめまめくんは、お人形の靴をはき、おもちゃの車に乗って遊んだり、乗馬みたいにバッタに乗って探検したりして、自分が小さいことなど気にもせずに、楽しく過ごしていた。ちいさいけれど、なんでもできた。

◆しかし、学校に行く年齢になると今までとは違った。
「まめまめくん」は自分がものすごく小さいことに気がついてしまうのだ。

◆豆つぶサイズにはできないことばかりだ。教室のイスには座れないし、給食も、運動するのも。休み時間も、クラスメイトとも遊べない。だから、いつもひとりぼっちの「まめまめくん」は、絵を描いて過ごした。先生は、そんな「まめまめくん」の将来を心配する。

◆やがて、まめまめくんは、立派な大人になるが、やっぱり体は小さいままだ。しかし、「まめまめくん」は自分しかできない仕事を見つけていた。

えっ、まめまめくんま しごとは なぁに、だって?
ふふふ、当てたらえらい。
それはね…

◆この本を手にして確かめて欲しい。ヒントは偉大なアーティスト!!

◆「自分にしかできないことがある時点で、誰よりも偉い」ということを教えてくれる本だ。さてさて、それに気がつき、それを生かせるかどうかで人生は決まる。付け加えるならば、そのことに気がつくのは実は幾つになってからでもよいのだ。つまり、そのことに気がつくための昨日までがあり、気がついた「今日」があるのだ。

明日死を迎えるとしても
今日から
幸福になっても遅くはないのです    中村天風 (折れない心!)

※「まめまめくん」
文: デヴィッド・カリ 絵: セバスチャン・ムーラン 訳: ふしみ みさを
出版社: あすなろ書
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