輪橋山徒然話 2024-9-20「姥捨」
もうすぐ冬がきます
その村らは
悲しい習わしがありました
村の大事な掟でした
だから自分だけが守らないわけには
いきませんでした。
とうとうその日がやってきました。
その掟とは「姥捨」です
年老いた親を子どもが背負って
山の奥に置いてくるのです
今日は男の母親の番です
泣く泣く男は母親をおぶって山に登ります。
すっかり痩せ細った母親の軽さに
驚きながら山路を登ります。
背にある母は、時折、木の枝を折っては、
その枝を地面に落とします。
痩せた手を伸ばし、
ぶつぶつ言いながら一生懸命です
母ちゃんが
おかしくなったと思いました
ようやく山奥に着きました。
握り飯と水を渡して「ごめん」と
息子が去ろうとした時です
自分を置いて去って行く我が子に、
母親は真顔でこう言いました。
「目印の木の枝を見つけながら、
迷わずに下るんだよ」
母とはこういうものです
親とはそういうものです
ありがたい ありがたいものです
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