約20億回鼓動(約5億回の呼吸) で心臓は止まる。全ての哺乳類がこの同じ「命の時計」を共有している。

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輪橋山徒然話 2024-6-15. 命の尺度:ゾウとネズミに学ぶ時間の不思議な共通点

◆「腑に落ちる」とは、簡単に言えば「納得する」ということである。本川達雄さんの『ゾウの時間 ネズミの時間 サイズの生物学』(中公新書)の第一章を読んで、この感覚を深く感じた。

◆例えば、息を吸って吐く間隔と心臓の鼓動の間隔を比べてみると、哺乳類では大きさに関係なく、心臓は息を一回吸って吐く間に約4回鼓動する。これは全ての哺乳類に共通している。

◆さらに、寿命を心臓の鼓動数で計算してみると、哺乳類は一生の間に心臓が約20億回打つことが分かる。また、呼吸の回数で寿命を計算すると、約5億回の呼吸をする。これも哺乳類のサイズに関係なく同じなのである。

◆これはどういうことだろうか。

◆物理的な時間で見れば、同じ哺乳類であるゾウはネズミよりもはるかに長生きする。ネズミは数年しか生きないが、ゾウは100年近く生きる。しかし、心臓の鼓動を時計として考えれば、ゾウもネズミも同じ長さの命を全うしていると言える。

◆体が小さい動物ほど代謝が早いため、物理的な寿命が短くても、一生を生きる感覚としては、ゾウもネズミも変わらないのかもしれないのだ。

◆つまり、哺乳類の心臓は一生の間に約20億回鼓動し、約5億回呼吸する。これは、ゾウもネズミも同じことであり、心臓の拍動を時計として見れば、皆が同じ時間の長さを生きていることになる。これが「サイズの生物学」であると著者は述べている。

◆ハツカネズミが息を吸って吐くのに0.4秒かかるのに対し、ゾウは8秒もかかる。大きな動物ほどゆっくりと生き、長寿であり、小さな動物は素早く動き、寿命が短い。しかし、一生の間に心臓が約20億回鼓動し、約5億回呼吸すれば、その一生は終わる。限りある命を、異なる時間の尺度で生きているだけである。

◆時間の尺度が異なることを理解できれば、ゾウもネズミも、そして人間も同じ限りある命を同じように生きていることが実感できよう。何度も繰り返すが、命とは、それぞれの生き物の定められた時間の中での一生を意味する。

◆ある人が「(その)いのちをいただきます」と学校で教えるべきだと言ったそうだ。その本来の寿命までの命をいただくということだ。『ゾウの時間 ネズミの時間 サイズの生物学』を読み、その考え方に妙に納得がいった。

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