輪橋山徒然話 2023/10/26 「絵本に書いてはならいタブー」とは
◆絵本には書いてはいけないことがあるという。
それは、だ。
子どもにとって食べ物を与えてくれる人は、世界を与えてくれる存在である。その人がいなくなったら子どもの世界は消失してしまう。
言われてみれば、「赤ずきん」も「3匹の子豚」も、食べ物を与えてくれるお母さんは、いつも陰に隠れて子どもたちを見守っている。それほど食べ物を与えるという行為は、子どもにとって神聖で侵すべからざるものなのである。
ゴリラからの「人間社会、ここがおかしい」著 山極壽一 (毎日新聞出版)より
◆京都大学の山極壽一先生は人類学者(人類学・生態環境生物学)、霊長類学者。ゴリラ研究の第一人者だ。ゴリラやチンパンジー、類人猿と人間の進化から捉える発言は示唆に富んでいる。
◆山極壽一先生が「野生の心」について書いている。小さい頃に親を失い、保護されたゴリラの孤児院があるという。そこで生まれたゴリラを自然に戻し、数を増やそうという試みがあるが、なかなにうまくいかないそうだ。
◆例えば十数頭の群れをゴリラが以前生息していたことがわかっていて、現在絶滅している場所が選ばれ放される。しかし、2カ月経っても、眠る場所も地上、野生の食物をほとんど口にすることができず、餌を運んでくる人間をひたすら待っているのだそうだ。
◆本来は、年上のゴリラたちに育てられるはずのゴリラたちが、人間に体をきれいにしてもらい、食べ物を与えられ、人間に抱かれ不安な心をなぐさめてもらう。結果、ゴリラたちは自分の仲間よりも人間が好きになってしまったのである。これは人間の子どもにも当てはまる話である。「三つ子の魂百まで」というように、幼い頃の経験によって作られた心は、大人になっても変わることがない。「生まれて初めて出会う人間に身の回りの世話をしてもらい、何もかも頼って暮らした経験が、人間を信頼して生きる心を作るのだ」と山極壽一先生は言う。
◆それほど食べ物を与えるという行為は、子どもにとって神聖で侵すべからざるものなのである。だから、絵本では食べ物を与える人は殺さないのだ。「赤ずきん」も「3匹の子豚」のお母さんは、自分自身のお母さんなのである。世界の全てなのである。
◆食育ということが言われてから久しいが、「学校給食が貧しくなっている」というコラムと写真には驚いた。これが日本の給食の現状なら、もはや我が国は教育国家ではないと思った。なさけない!! 目の前の子どもに、目に見える「異次元の少子化対策」をして欲しい。
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