腐った一部のりんごが樽の中の他のりんごを腐らせるのではなく、歪な形をした樽自体がりんごを腐らせる

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輪橋山徒然話 2023/11/14. 「悪」

◆学校教育で教えないものと問われて「?」と思った。

◆作家の佐藤優さんは言う。学校の教育では「悪」を教えていないと…。

◆だから大人になって、知らずに悪に引っかかってしまうことがあるという。そういう人にひっかからない為には、悪についての代理経験が大事だという。

◆まず、世の中には4通りの人間がいるという見方で説明している。

以下引用 人生のサバイバル 佐藤優 17歳の特別教室 講談社

▶️世の中には4通りの人間がいるんです。「能力が高くて倫理観も高い」、「能力は高いけれど倫理観は低い」、「能力は低いけど倫理観が高い」、「能力も倫理観も低い」。

この中、最低なのはどれだと思う?能力も倫理観も低い人じゃないよ。倫理観が低くて、能力が高い人なんだ。そういう奴は、うまくウソをついたり、人を言いくるめたりして、良い人のふりをする悪人になる。毎日ニュースを見ると、成績優秀なはずの政治家や官僚達がセクハラをしたりウソをついたり、変な事件がたくさんあるでしょう。

人間性と成績は関係ないんだ。そういう人間を見抜く為に必要なのが、小説を読むこと、ノンフィクションを読むこと。本を通じていろんな人間や世の中の危険を知って、悪の代理経験を積むことです。

◆佐藤優さんは、人間の資質をマトリクスに入れ、悪人を識別する方法を提示している。

◆では、例えば「能力は高いけれど倫理観は低い」人間によって、「悪」に染まることはないのだろうか。我々は善良なまま、「倫理性」を保つことはできるのであろうか。もちろん、「悪」について学校で教えない理由は多々あるのは承知だ。例えば発達段階、あるいは、偏見を生む等々。

◆それでも、人間の弱さに視点を当てた「悪」を知る必要があると思う。

◆読んでおきたい一冊をあげるとしたら、フィリップ・ジンバルドの『ルシファー・エフェクト-普通の人が悪魔にかわるとき-』というノンフィクションが相応しいと思う。

◆ジンバルドは、スタンフォード刑務所で次の実験を行う。

◆ねらいは、状況や環境が人々の行動にどのように影響を与えるかについて。方法は大学生の被験者を「看守」と「囚人」に分け、模擬刑務所の環境で生活を観察する。つまり、看守となった普通の学生が、囚人となった学生に対して、どのような行動をとるのかを詳細に観察したのだ。その結果は、看守となった学生が囚人に対して極端に残酷な行動をとるようになり、実験は予定より早く中止された。

◆ジンバルドは結論づける。「腐った一部のりんごが樽の中の他のりんごを腐らせるのではなく、歪な形をした樽自体がりんごを腐らせる」と。システム、状況が人を悪人にも善人にもするのだ。犯罪者は自分とは違う特性を持っている、というのは間違いだと結論づけている。つまり、「残酷な看守」はあなた自身ということなのだ。

◆その理由をジンバルドは、権力の構造、匿名性、非人間化、集団圧力など、さまざまな要因にあるという。これらの要因が個人の道徳的判断を曇らせ、普通の人々が非道徳的、または残虐な行動を取ってしまうことを証明した。そして、マトリクスの一つ「能力は高いけれど倫理観は低い」人間がそれをリードするようになるのかもしれない。

◆我々は、「性悪説」とも言えるこの事実から目を背けてはならない。だからこそ様々な立場で考える代理経験が必要になってくるのだ。その訓練は一人では難しい。小学校時代から段階を追って積み上げていく必要があると思う。そして、絶対に揺るがない「核」を培う必要がある。

◆さて、某歌劇団の構図もJ事務所の体質も、ブラック企業もここに原因があるのだろう。この人間の弱さ・本質を学ばないと同じことを繰り返してしまうのが人間だ。その証拠に各地で「争い」が止まないし、よりエスカレートしているではないか。

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