「出会い」と「別れ」
◆今日は聖バレンタインデー。新しい恋が始まるだろうか。
◆人と人との距離が広がったままのソーシャルディスタンス。孤独・孤立といった感情が社会から抜けない。そろそろ、新しい「距離感」をつくりたいものだと思う。キーワードは、任運自在で無我無心だ。
大勢の人間の「間」にある孤独
◆東京から田舎に戻る時、なじみにしてもらっていた古本屋さんに「高尚な全集を記念に」とお願いして選んでもらった。勉強をほとんどしなかった罪滅ぼしという意味もあった。
◆古本屋さんが選んでくれたのは「三木清全集」だった。破格の値段だった。
◆その全集の主は三木清。哲学者である。こんな言葉を残している。
孤独は山になく、街にある。
一人の人間にあるのではなく、
大勢の人間の「間」にあるのである。
◆哲学者は、山の中で生活する孤独よりも、周りにたくさんの人がいて、その誰とも繋がらない孤独、分かり合えないことが真の「孤独」ということだと説く。まさに、現代が抱える「闇」そのものだ。
◆だからこそ、私たちは、隣の方との出会いと別れの「間」にある細い縁を繋いでいく努力を忘れてはいけないのだが、求めれば求めるほど遠のくのもまた縁である。さあ、縁の話を始めよう。
「別れないと出会えない!」
◆ずっと心に引っかかっていたフレーズがある。「別れないと出会えない!」。よく思い出せないでいた。やっと見つけた。つくづく、便利な時代である。ずいぶん昔のコーヒーのCMにあった。
◆B0SSコーヒーを片手に、トミー・リー・ジョーンズが「この惑星では」別れないと出会えない!と無表情でつぶやいていたのだ。
◆こんなシュチュエーションだ。 ボスCM
2組の別れと新たな旅立ち。
田舎の駅舎である。
かつてよくあったように電車の窓越しに別れを告げる男と女。
なぜかそのカップルの後ろにも、もう一つのカップル。
列車が到着し、二人の男と女は列車の中に。
プラットホームに残ったのは、男と女と駅長のトミー・リー・ジョーンズだ。
流れる音楽は、ユーミンの「春よこい」
「この惑星の駅舎と呼ばれる場所では、出会いと別れが繰り返されている」
とおなじみのナレーション。
「どうしても行くのか
電車で都会に行く女性Aに向かって「どうしても行くのか」と男が問う。
それと重なるように別のカップルの女性Bが「どうしてもいくのね」と電車の男に向かって聞く。
電車の中の女性が「ごめん」とガラス越しに手のひらをあてる。
出発進行とトミー・リー・ジョーンズの駅長
◆ここまでのシーンは、高倉健の「駅station」のようだ。
電車の中の女性は「いしだあゆみさん」の泣き笑いと重なる。
ぐっとくる。そして「私よりきっといい人みつかるから」と。
電車が動き出す。
もう1組の方も、「ヒロシー」「ごめんなー」と電車の男Bが叫ぶ。
遠ざかる電車。目で追うプラットホームの二人。
なんと言っても別れが似合う。
宇宙人演出の新たな出会い
◆この時、トミー・リー・ジョーンズさんが「よし」と女性のハイヒールを指差す。光線が走る。
突然ぐらりとよろめく女性。
思わず残された男に寄りかかる。
見つめ合う二人。
すかさず男が聞く。
「付き合っている人は?」
男の問いを皆も聞かずに女は答える。
「いません!」
◆新しい出会いが誕生した。別れて出会うまでの30秒の出来事だ。一目惚れだ。そして、恋に落ちる。さっきまで泣いていた男と女である。別れの向こうに出会いがあるのだ。
◆寂聴さんもびっくりの電光石火だ。しかし、この二人、別れたから出会えたのだ。もう一歩進めれば、その人に会うために別れたのである。人生とはそういうものだ。ちょっと速いが。
時の流れに身を任せ
◆「任運自在(にんうんじざい)」という言葉がある。流れに身を任せて、その巡り合わせの中に生きるという意味だ。結婚とか恋愛にも当てはまる。良縁が欲しい欲しいと思ううちはなかなか。いっそう「縁とは自分の力でままならないものであるのだ」と思ってはどうだろう。
◆自分から求めないということだ。つまり、自然にまかせること。運にまかせるのだ。運というものどうしようもないものと放っておくのだ。なすがまま、清々しくあれば、新たな縁が寄ってくるのだ。追いかければ、相手が逃げるのはこの世の道理だ。時の流れに身を任せ…である。
◆マッチングアプリもいいだろう。しかし、無我夢中ではなく、無我無心がよいと思う。
今日も深呼吸と合掌とオンニコニコで
◆深呼吸で「心のデトックス」。一度息を全て「大地に」吐き出します。次に胸を広げて鼻から息をたっぷり入れます。最後は「吐く息は細く長く」です。呼吸をコントロールし、呼吸に集中。自分の心にアプローチ。
◆「自分の根っこ」に感謝。ここに自分があること。お父様、お母様。あなたの隣にいる人とそのご縁。これから出会う新しいご縁。全てに合掌しましょう。
◆いつもニコニコ怒りません。「オンニコニコハラタテマイゾヤソワカ」は、自分もまわりも明るく・仲良く・イキイキと導くおまじない。「オンニコニコハラタテマイゾヤソワカ」。
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