トルストイが、自著「懺悔」に引用しも“これ以上、人間の姿を赤裸々に表した話はない”驚いた例え話

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◆お寺のサザンカは真っ白だ。雪に似合う。母が大事にしていたこの花。今年も健気に咲いている。

輪橋山徒然話 「人間の姿を赤裸々に表した話と戒め」 2023-12-25

◆トルストイが、自著「懺悔」に引用しも“これ以上、人間の姿を赤裸々に表した話はない”驚いた例え話がある。

ひとりの男が罪を犯して逃げた。

追手が迫ってきたので、彼は絶体絶命になって、ふと足もとを見ると、古井戸があり、藤蔓が下がっている。

彼はその藤蔓をつたって、井戸の中へ降りようとすると、下で3匹の毒蛇が口を開けて待っているのが見える。

しかたなくその藤蔓を命の綱にして、宙にぶら下がっている。やがて、手が抜けそうに痛んでくる。

そのうえ白黒二匹の鼠が現われて、その藤蔓をかじり始める。藤蔓がかみ切られたとき、下へ落ちて餌食にならなければならない。

そのとき、ふと頭をあげて上を見ると、蜂の巣から蜂蜜の甘いしずくが一滴二滴と口の中へしたたり落ちてくる。

すると、男は自分の危い立場を忘れて、うっとりとなるのである。
『仏説譬喩経(ぶっせつひゆきょう)』より

◆さて、このお話にはの比喩が用いられている。それぞれ何のことだろう

男       すべての人間
藤蔓      寿命  → だんだん細くなっていく
3匹の毒蛇   欲・怒り・愚痴 →
白黒二匹の鼠  昼と夜

◆絶体絶命のこの状況において、全てを忘れさせる「蜂の巣から蜂蜜の甘いしずく」とは一体何だろう。

◆これは「五欲」といわれるものだ。「食欲」「財欲」「色欲」「名誉欲」「睡眠欲」の5つの欲だ。ちょっとでも手にはいれば嬉しい。そしてもっと欲しいと願う。始末が悪いこの心は際限がない。なぜなら、満足しないからだ。喉が渇いた時に、海水を飲むともっと喉が渇くようなもの。欲望は、満たせば二倍の度を増して渇くのだ。

◆生きている限り止むことがない。もっともっととわたしたちを突き動かす五欲によって「我利我利」となり、藤の蔓にぶら下がっているのが人間だと教えているのだ。

門松は冥土の旅の一里塚 めでたくもあり めでたくもなし 一休宗純

◆さて年末だ。寿命という限りある時間を生きていることを戒めに、今あることに感謝し、二度とこない今日という日を大事に味わいたいものだ。

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