「人は皆、有用の用を知れども、無用の用を知るなし(無用の用を知るなきなり)」

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2023/11/17「無用の用と無用の長物」

◆水嶋新司さんといえば野球漫画のドカベン。浮浪雲や釣りバカ日誌が連載されていたビッグコミック・オリジナルにも、水嶋新司さんの異色の野球漫画があった。「あぶさん」という。

◆「あぶさん」こと景浦安武(かげうら やすたけ)の代名詞は、お酒と「物干し竿」と呼ばれるバッドだ。その長さは37インチ。37インチというと約94cm。普通はプロ選手でも長くても85~86cmというから10cmほど違う。

◆ちなみにエンゼルスの大谷翔平選手が、WBC日本代表練習で、調整用に使っていたのが約93cmの「物干し竿」バットだった。とんでもなく長く見えた。

◆巌流島の佐々木小次郎の名刀、備前長船長光も尋常ではない長さだ。刃渡りだけでも90cm以上1m弱もあったという。天下の名刀と天下の剣豪の組み合わせは、燕も落とすほど凄まじかったと伝えられている。

◆我々には柄を含めれば140㎝以上の刀である。抜くことさえできないだろう。

◆名人にとっては「長物」なのだが、そもそも抜刀できない備前長船長光に至っては、それを真似して使いこなせないのだ。これではただの「無用の長物」だ。

◆我々の周りを見回してみると「無用の長物」で溢れている。たとえば「車」や「スマホ」などの高機能がそれにあたるだろう。おじいちゃんスマホでも手に余る。気がついてみれば、分厚いマニュアルも電話帳も消えた。

◆さて、「無用の長物」に対して「無用の用」という言葉がある。役に立たないと言われているもが、角度を変えたり、場を変えたりした時に驚くほど役に立つことをいう。

◆「無用の用」の言葉の由来は、紀元前300年頃。中国の思想家「荘子」が書いた書物『荘子 人間世』だ。その中に「人皆知有用之用、而莫知無用之用也」という言葉がある。

◆「人は皆、有用の用を知れども、無用の用を知るなし(無用の用を知るなきなり)」と読み、現代語訳では「人は皆、役に立つものが役立つことは知っているが、役に立たないものが役立つことを知らない」ということになる。

◆プラスかマイナスか、正か否、損得かで判断して、役立つもの、役立っていた物であっても「切り捨てる」のが昨今の風潮だ。少し寂しい気がする。

◆「なるほど」「ああそうか」と無用の用への発見は人生を豊かにすると思う。また、「無用の長物」が「無用の用」に化けることの面白さ、それを使いこなす楽しさ、出会った不思議さもあると思う。

◆たとえば、上手く言えないが「なぜ勉強するのか」や「勉強は社会で役に立つのか」と子どもに問われ、返事に窮する「学校の勉強」も、その子にとって、ある日「無用の長物」が「無用の用」にもなるものだと教えたい。自分を助ける「無用の用」になりうるものだとそう努力しろと教えたい。

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