「誑(たぶら)かす」とは、誘惑して本心を失わせること。この語の語源は「戯れて、そして転がす」だ。

しらゆきひめブログ
Fairytale evil old witch holding a poisoned red apple at twilight in a deep forest, scene from the tale Snow White, 3d render

輪橋山徒然話 「誑かす」 2023/9/29

◆「誑(たぶら)かす」とは、誘惑して本心を失わせる。甘言でだます。また、色じかけでだます。すかす。たらす。この語の語源は「戯れて、そして転がす」だ。

◆誑かすには「狂」が入っている。「狂」とは、犬がわがもの顔で何でも自由にする様子を表している。つまり、犬のように、周りを気にすることなく、自分の思いだけを通すこと。手段を選ばず、結局何をしでかすかわからない状態を指す。これに「言」がついているから、「こうしたらうまくいきますよ」「儲かるには…」となりふり構わず、言葉を操り、人を騙すのだ。

◆つまり、言葉でもって人を洗脳する。そこに、できあがるのは、虚構=フィクションだ。カルト宗教の教祖さまや独裁者がアメとムチで人心を操ることがそうだ。

◆なぜ、このようなことが起きるのだろうか。

◆その理由は、「それが人間だから」である。サピエンス全史によれば、あるときサピエンスは、突然変異で、言語と想像力による意思疎通の能力を得た。それは7万年前に起きた「認知革命」と呼ばれるものである。他の動物には真似できない、大規模な集団行動を可能にした。言語と想像力により、大規模の意思の統一が可能になったのだ。例えば国と国との戦争やあるいは宗教もそうである。

◆ここでいう意思疎通とは、小さいところでは、「あなたの青が私の青」で、「私の赤があなたの赤」とみんな同じに見えているという思い込みがそうだ。よく考えてみれば、誰にも同じように見えているとは、虚構=フィクションの上にあるものなのだ。国家や憲法、法律すべてフィクションだ。なぜならば、それらは、他の動物には見えないし、認知できないものだからである。

◆さて、現代は多種多様のフィクションに溢れている。高級車や高級時計、高級ブランドあるいは、宝石などもそうだし、アイドルなどもそうだろう。スキャンダル。男女差や人種差別もそうか。

◆知らず知らずのうちに、フィクションが善悪や価値観として巧妙にプログラムされているのである。

◆このフィクションは、法律のように我々を守るものでもあるが、時には我々を扇動したり、誰かに都合よく書き換えられたりする。下手をすれば世界を二つに割る戦争さえも選択させる力を持つのである。その証拠に「フェイク動画」で簡単に憤ったりするではないか。それが誑かされるということである。

◆ではどうしたらいいだろうか。難しいことである。ただ一つ言えることは、とりあえず一歩引いてみること、俯瞰する態度だと思う。取り敢えず「瞬間湯沸かし器」は卒業だ。

◆世の中は虚構で溢れている。

◆さあ、如何だったろう。

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