人は生きていく上で、さまざまな風にあおられ、さらされる。その風は、冬の厳しい北風だけではない

仏教

◆人は生きていく上で、さまざまな風にあおられ、さらされる。その風は、冬の厳しい北風だけではない。世間からの風、あるいは生老病死の風。そして、順風に逆風。風はやむことは無い。

心は大山の如し
八風を受けて動ぜす

◆八風とは、修行を妨げる8つの出来事の事をいう。人間が求める4つの出来事四順(しじゅん)と、人間が避ける4つの出来事四違(しい)とからなる。

四順
利い(うるおい)‐目先の利益
誉れ(ほまれ)‐名誉をうける
称え(たたえ)‐称賛される
楽しみ(たのしみ)‐様々な楽しみ

四違
衰え(おとろえ)‐肉体的な衰え、金銭・物の損失
毀れ(やぶれ)‐不名誉をうける
譏り(そしり)‐中傷される
苦しみ(くるしみ)‐様々な苦しみ

◆四順は順風、四違は逆風のことだ。順風では思い上がり、逆風の時は潰されそうになるのが人間だ。

◆「八風を受けて動ぜす」には「天辺の月」という続きの言葉がある。煌々と輝く月を観よということだ。逆風に潰されそうな時、天を仰ぎ「月」を観よということだ。大風が吹いていても月は動ずることはないではないか。只々月の前を雲だけがどんどん流れていくだけで、月は煌々と輝いているということだ。

◆月のように在るために、このやっかいな「風」をどう考えればよいのだろうか。

◆「順風はめったにこない」とヨットのような帆を操って船をすすめる人はいう。それではどうしているのか。するとこんな答えが返ってきた。「逆風をつかむのだ」と。

◆逆風の時、風の角度を見極め一定の角度で帆を操つり、斜め前方にジグザグ経路で前に進んでいく技があるそうだ。飛行機が空を飛ぶ原理の「揚力」と「推力」の関係と同じだ。一見逆風に見える風をも力にして前進しようということだ。これを逆風に帆を張る「逆風張帆(ぎゃくふうちょうはん)」というそうだ。

◆一見悪風に見えても、「それを力に変えて前に進めよ」という教えである。風とは「力」なのである。

◆見方を変えるということだ。昨朝のレジリエンスだ。そのためには、「視点」を変えることが重要だ。「相手の立場」「賛成の立場」「反対の立場」「遠くから見る」「上から見る」など、さまざまな視点を持つこと大事なのだ。つまり、いくつもの眼を持つというやわらかさを身につけるのである。

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