YOASOBIの歌う「ちょっとだけ幸せを運ぶことなら…」と現代の幸福論とギバー

観音さままとめブログ
観音さま

どうしたら幸せになれるのか

自尊感情が低い国民性が幸福度が低い理由なのであろうか。

二つの「幸福の王子」のお話

◆子どもの頃そのお話は悲しかった。オスカ-・ワイルドの「幸福の王子」だ。

                   オスカ-・ワイルドの「幸福の王子」(読み聞かせ)

◆体は金箔で覆われ、目はサファイヤ、剣にはルビーといった宝石。美しい幸福な王子の銅像とツバメの話だ。冬が近づいてきたある日、王子の像の足元に一羽のツバメが休むことする。南のエジプトに向かう途中だ。

◆そこに、「私には街の中の悲しみがたくさん見えてしまう。あそこに病気の幼い子がいるが貧しくて薬が買えない。剣のルビーをその子に届けてやってくれないか。」と王子の涙。

◆ツバメはその子どもにルビーを届けた。その後、王子は、目のサファイヤを才能のある貧しい若者とマッチ売りの少女に渡すよう頼んだ。

ツバメの死と幸福の王子

◆両目が無くした王子は、「目が見えなくなってもあの子たちが幸せになれるならいいんだ」と言う。それを聞いたツバメはエジプトには行かず、王子の目の代わりになることを決心する。そして、ついに寒さのため死んでしまう。

「さようなら。愛しい王子さま」

「とうとうエジプトへ行くのだね」と語りかけた盲目の王子は純金を剥がされて輝きを失い、暗い灰色の像となっていた。

「違います。死の家へと行くんです」

◆小さなツバメはそう言うと、最後の力を振り絞って飛び立ち、王子の唇にキスをした。この時。なんと、王子の心臓は悲しみのあまり破裂するのだ。絶望のあまり…。

 

自己犠牲は自己満足か

◆自己犠牲の幸福の王子を「自己満足」という人がいる。結局、自分の眼であり、理解者であり、友人であり、伴侶ともいえる大切なツバメをも死なせてしまうからだろう。

◆「とうとうエジプトへ行くのだね」子どもの頃涙が止まらなかった文だ。私の記憶ではここで話が終わっている。しかし、実はこの話には続きがあったのだ。

幸福の王子のその後

◆みすぼらしくなった王子の像に町の人々はがっかりし、「乞食のようだ」「他の像を建てよう」と像を壊し、溶かしてしまおうとする。しかし不思議なことにいくらやっても鉛でできた王子の心臓は溶かすことができず、ツバメの死骸の横たわるゴミ捨て場に捨てられる。

◆そして、その後にこう続く。

◆ある日神様は天使に「町の中で一番尊いものを二つ持ってきなさい」と言う。天使が王子の鉛の心臓とツバメの死骸を持ってくると、神様は天使を褒め、王子とツバメは天国に連れて行くのだ。

現代の幸福の王子のお話

全てを捧げるのではなく、少しでも手を差し伸べれば、誰でもが「幸福の王子」になれるという現代の幸福の王子のお話がある。

『YOASOBIとつくる 未来のうた』

◆昨日の投稿「幸福の王子」を読んだ方が教えてくれた。「ツバメ」という曲があると。NHKの番組で、子どもたちと作るプロジェクト『YOASOBIとつくる 未来のうた』ことだ。

◆実際に聞いてみた。曲の終わり頃「輝く宝石だとか 金箔ではないけれど こんな風に世界中が…」とある。あれ、昨日の「幸福の王子」と重なっている。映像にも目に青い宝石を入れた若い男の人。                          YOASOBIとつくる 未来のうた

『YOASOBI』と「小さなツバメの大きな夢」by乙月ななさん

◆「YOASOBI」とは2人組のグループで「小説を音楽にするユニット」だ。コンポーザーのAyase が小説を読み込み、そこから歌詞を生み出し、曲にする。だからいつも「YOASOBI」は心に響くのだ。

◆ボーカル選びはInstagramであいみょんの「君はロックを聴かない」のカバー曲の弾き語りをしていたikuraの動画を発見し、声をかけたのがきっかけだそうだ。今時である。

◆さて、「ツバメ」である。これは、15歳の乙月ななさんによる「小さなツバメの大きな夢」をもとに制作された曲だ。テーマは SDGs「ともに生きる」。小説のあらすじは次の通りだ。

◆日本に到着した一羽のツバメ。町の児童館に巣を作り、子供たちに暖かく迎えられる。もう1羽は、人間に巣を壊され、人間嫌いになってしまったツバメ。この2羽が出会う。

◆自然を壊し住処を奪うのも人間だ。毎年、自分を受け入れてくれるのも人間。ツバメと人間。「ツバメと人間が仲良く共存できないものなのか」そんなことを考える2羽の前に貧しい親子が現れる。

◆男の子は、母親に「幸せな王子」を語って聞かせる。そして、貧しい自分たち親子のところにも、「きっと、ツバメさんが助けに来てくれるんだよ」と目を輝かせる。ツバメたちは、何とか親子を笑顔にしたいと考える。

現代版の「幸福の王子」ツバメの解決策

◆現代版の「幸福の王子」の始まりだ。しかし、ツバメたちは、お話のように金箔や宝石を運んでくることなどできない。しかし「ちょっとだけ幸せを運ぶことならできるかもしれない」と考えはじめる。「小さな僕の大きな夢プロジェクト」である。

◆実際のツバメ(YOASOBI)歌詞ではこのように歌われている。

誰かの1日に振ら少しだけ鮮やかな彩りを

輝く宝石だとか

金箔ではないけれど

こんな風に世界中が

ささやかな夢で溢れたら

何かがほら変わるはずさ

同じ空の下いつかきっと

それが小さな僕の大きな夢

◆2羽のツバメは親子を幸せにするためにプロジェクトを決行する。それは、幸せの花言葉を持つ花をそっと窓辺に置いて、たくさんの仲間と大きなハートを空に描いてみせること。

◆現代版の「幸福の王子」は、自らの全てを捧げるのではなく、ほんの少しでも手を差し伸べることができれば、わたしもあなたも、誰でもが「幸福の王子」になれるのだということなのだ

幸せと利他の心

◆瀬戸内寂聴さんは、「人間は、幸せになるためにこの世に送り出されてきたのだと思います。そして幸せとは自分だけが満ち足りることではなくて、自分以外の誰かを幸せにすることだと考えてください」という言葉をのこしている。「利他の心」である。

日本人の幸福度

◆我々の抱えている現実を見てみよう。

◆このほど「世界幸福度報告の2022年の最新結果」が発表された。日本は、世界146国中54位だったそうだ。「一人あたりのGDP」は28位/145国。「健康寿命」は1位/141であることを踏まえれば、もう少し高い幸福度であってもよいはずなのだが…。

(幸福度ランキングは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)中の調査であり、ウクライナへの軍事侵攻前の調査)

◆まず着目したいのは、次の項目である。

肯定的感情の体験について(幸せ, 笑顔, 喜び)では67位/146国

否定的感情の体験について(心配, 悲しみ, 怒り)では12位/146国

◆「世界12位の否定的感情の体験」が示す意味は、我が国には安全で平和で安定的な幸福感が存在し、それを評価しているということだ。しかし、予想通り、肯定的感情の体験は67位で高いといいえない。

肯定的感情と幸福度とボランティア

◆実は、肯定的感情つまり自尊心が低い傾向は、小中学生の全国学テの子どもたちの示す傾向と同じなのである。国民全体が、肯定的感情の体験について低いのだ。我が国は肯定的感情を持ちにくい国民性なのかと思ってしまう。

◆もう少し見ていくと、我が国の評価結果で低い項目に、「寛容さ(他者への寛大さ)」がある。「寛容さ」とは「正当な目的のために寄付する」「見知らぬ人を助ける」「ボランティアに参加する」などである。相互互助、社会貢献、ボランティア、寂聴さんの「利他の心」と考えてよいと思う。この「寛容さ」の低さが、幸福度が上がらない原因の一つと言えるかもしれない。

 ◆2019年の内閣府『「満足度・生活の質に関する調査」に関する第1次報告書』では、社会貢献することによって満足度が上がるという調査結果がある。ボランティアへの参加活動が、幸福度との正の相関があるのだ。今後の日本においては、ボランティア活動や相互互助の文化を根付かせることが、重要な課題なのだ。

パイを大きくする

◆実は、この課題解決のヒントになる本がある。「Give &Take・ギブアンドテイク与える人こそ成功する時代」 -利他的に行動しウィンウィンを目指そう- (三笠書房)

◆作者はアダムグラントで組織心理学者。ペンシルバニア大学 ウォートン校の教授だ。このアダムグラントはアップルパイを二人で切り分ける時の行動で人を三種類にわけている。次の三つだ。

「テイカー」自分が多めに取る 全部俺のものタイプ

「マッチャー」平等に二等分する 冷静に損得を公平に考えるタイプ

「ギバー」相手に多めに与える 常に他人に与え続けるお人好しのタイプ

◆私には、「テイカー」が一番得をして、「ギバー」がいつでも損をするように見えるのだが、アダムグラントは逆に、相手のことを考える「ギバー」が一番成功するという。その理由についてこう解き明かしている。

◆成功する「ギバー」は、パイを大きくすることを考える。他人の視点で物事をみて全体のパイを大きくするのだ。例に挙げられていたのはリンカーンである。

◆彼は希代の「ギバー」だった。自分の政策実現のためには、他陣営を応援したりもした。時には、そのおかげで落選することも…。それでも相手の利益も尊重し「パイを大きくする」ことを考えたのだ。つまり、共に勝つこと「ウィンウィン」を願ったのだ。最終的にはこの積み重ねがものをいう。これと逆なのが「テイカー」だ。彼らは「パイの大きさは変わらない」と考え、独り占めを目指すのだ。

「ギバー」とは利他の人

◆「ギバー」であることは、幸福感にもつながるという調査結果もある。ボランティア活動一年後には、幸福度、人生の満足度の向上、うつ病の軽減。高齢者は長生きすることが確認されたという。

◆アダムグラントがいうように「ギバー」が、一番幸せに近い生き方とすれば、寛容性の課題も解決され、我が国の自尊心も変わり、幸福度があがる。まさに相互互助、社会貢献、ボランティアがキーワードなのだ。「ウィンウィン」の幸福の王子、つまるところ寂聴さんの教える「利他の心」にも帰結するのだ

今日も深呼吸と合掌とオンニコニコで

◆深呼吸で「心のデトックス」。一度息を全て「大地に」吐き出します。次に胸を広げて鼻から息をたっぷり入れます。最後は「吐く息は細く長く」です。呼吸をコントロールし、呼吸に集中。自分の心にアプローチ。

◆「自分の根っこ」に感謝。ここに自分があること。お父様、お母様。あなたの隣にいる人とそのご縁。これから出会う新しいご縁。全てに合掌しましょう。

◆いつもニコニコ怒りません。「オンニコニコハラタテマイゾヤソワカ」は、自分もまわりも明るく・仲良く・イキイキと導くおまじない。「オンニコニコハラタテマイゾヤソワカ」。

 

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