いのちを学ぶ
昔、算数で計画した内容.
◆以前教員をしていた。小学6年生を担任していた昔々「いろいろな数値から見えてきたこと」という新しい単元計画したことを思い出した。数値を根拠にしていろいろなものを表現していくのである。目標は、計算の正しさはもちろんであるが、より「説得力」のある数値を探すことにあるのだが「食べるということ」についても同時に考えさせたいと思った。
1日1人分のカロリーをもとに
◆この単元で基本にしたいと考えていた数値は「850✖️3」である。これは小学校6年生の1日に必要なカロリーである。ちなみに850kcalは学校給食の1日1人分のカロリーであるからこれを3倍にした得たものである。
◆「850✖️3=2250カロリー」が1日に私たちが食べる総カロリーと仮定し、それを1年分で何Kcal食べ、それは、食品にするといったいどのような量のか調べる学習だ。
1年間の総カロリーを「豚」だけで消費したら、1人4.5頭になる
学習の流れは次のとおりだ。
◆例にあげようと考えていたのは「豚」である。
① 「豚」から食用にできる肉の総量を調べる
② 「豚肉」1kgあたり何kcalなのかを計算する。
③ 「豚」1頭は何kcalなのかを計算する。
④ 「豚」で考えると1年間のカロリーは何頭分なのか計算する。
⑤ 「公式化」する
◆子どもに示す大まかな数値は次のとおりである。
豚の重さは120 kg 枝肉部分は、60%。この肉は、全てロース肉として考え、100gあたりのカロリーを290Kcalと考えた。
◆これで計算してみると
1頭あたりの肉の重さ 120❌0.6=72
(850❌3❌365)➗( 290❌10❌72)=4.457‥となり約4.5頭となる。1年間の総カロリーを全て「豚」でまかなったとしたら1人4.5頭食べることになるのだ。
使えるアイテムにする公式化
◆その後子どもたちは公式化する。
(850❌3❌365)➗( 290❌10❌72)は、
(1年間の総カロリー)➗(100gあたりカロリー❌10❌食べられる部分の重さ)
サンマの場合は!?
◆次は、サンマや米、牛で計算してみる。
◆例えばサンマの場合は次のような情報がなるはずだ。
サンマ1匹の重さは160gでそのうち可食部分は62,5% 100gあたり、300kcalである。このデータをもとに計算すると、サンマだけでまかなうとすると「3102.5」匹が必要になるのだ。
◆子どもたちの関心は広がるだろう。たとえば、今度は人間ではなく、豚1匹が食べるカロリーであるとか、サンマや牛が生きるために食べるカロリー数などだ。あるいは米だったら、麦だったら。総カロリーさえわかればある程度正しい数字に行き当たる。人間が生きるということは、食べるということは、生かされているということは、食事のたびの「頂きます」はとうあればよいかにまで考えか深まるだろう。
結局、授業しなかった理由
◆結論授業はしなかった。一見冷たい数字を根拠に命をテーマにすることの困難さは感じたことも大きな理由だ。また。私自身が坊さんである現実をどう解釈し、反映したらいいのか不明だったこともある。また、実際に「養豚農家」の子も「米農家」も「鶏卵農家」いた。お寺で算数という学習ではないのだ…。
まとめ
◆「1年間に豚4.5頭食べる」という数値は強力な数値である。ちなみに豚は出荷まで半年だ。一日の餌は、体重100kgを超えると1日3kgだ。出荷までの半年で300kgの配合飼料を食べることになるそうだ。とすると4.5頭分ではなんと1350kgの配合飼料を食べることにもなるのだ。その豚を人が食べる。人が1年生きるためにはこれだけの命が必要なのだ。 ⇒昆虫食
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